抑制気質の報酬に対する敏感さ | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

馴染みのない物や人を警戒し回避する行動抑制。子どもの行動抑制は将来、社会不安障害やうつ病になる確率を高めると言われています。今回は、行動抑制の経歴があった青年は脳の「報酬系」が活性化しやすいという趣旨の論文です。行動抑制は扁桃体だけではなく、報酬系に関しても機能的異常があると主張する研究グループがいます。彼らの研究の1つがこの論文です。

なお、ハーバード大学のJerome Kagan教授の行動抑制に関してはこちらをご覧ください(Gray教授の行動抑制系とKagan教授の行動抑制は違う概念です)⇒行動抑制の概念 by Jerome Kagan

Bar-Haim, Y., Fox, N. A., Benson, B., Guyer, A. E., Williams, A., Nelson, E. E., Perez-Edgar, K., Pine, D.S., & Ernst, M.(2009). Neural correlates of reward rocessing in adolescents with a history of inhibited temperament. Psychological Science, 20, 1009-1018.

★概要

乳幼児期に母親に質問紙調査したり、見慣れぬ刺激に対する反応を実験者が直接観察して、行動抑制の有無を判定しています。これらの乳幼児が約16歳になった時に実験をしています。実験は、参加者に自らの選択が正しければ、金銭報酬を獲得できるが、誤ると金銭報酬を収得できないと思い込ませる課題がメインです。その他、2つの課題も用いています。課題遂行中の脳活動をfMRIで計測しています。

その結果、抑制気質のあった人はその正反対だった人と比較して、メイン課題で脳の報酬系である「側坐核」の活動が活発になっていました。

★コメント

乳幼児期に抑制気質のあった人は、脳の報酬系が敏感になっていることを示唆する研究です。具体的には、抑制気質だった人は自身の選択が報酬獲得の有無に影響する時に、側坐核という報酬系が活発になることを示しました。正答が明示されており、報酬が得られるその他の課題では、有意差がなかったことから、単に報酬に反応したというのではないことが分かります。

○ドーパミン報酬系は?

報酬系に関与する神経伝達物質としてドーパミンが知られており、行動抑制児(人)とドーパミン系の関連が気になります。クロニンジャ―の性格理論によれば、ドーパミンは「新奇性追求」との関連が考えられます。新奇性追求傾向が強い人は、新しいものに進んで挑んでいこうとします。新しいものに消極的な反応を示す行動抑制は新奇性追求が弱いとも考えられ、ドーパミンとの関係性を探求するのも1つの道です。

○Grayの行動抑制系との関係は?

Gray教授は新奇性だけでなく、罰や無報酬を避ける個人の気質として「行動抑制系」を提唱しています。今回はKagan教授の行動抑制概念に沿った研究内容でしたが、報酬といえば、Grayの気質モデルが思い浮かびます。Kaganの行動抑制とGrayの行動抑制系はどのような関係があるのでしょうか?報酬系に関する研究成果が蓄積されると、Grayの行動抑制系とKaganの行動抑制の関係性がみえてくるのかもしれません。

○抑制気質とは正反対だった人との比較

抑制気質とは正反対だった人との比較で、抑制気質は報酬系が活発であると本論文は主張しています。しかし、もともと抑制気質とは対極にある人の報酬系が一般人よりも興奮しにくいことも考えられます。そうなると、たとえ抑制気質の人の報酬系が一般人と同じ機能を果たしていても、有意差が検出されることになります。これは、扁桃体に関しても言えることですが、平均的な気質の人との比較も必要です。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
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マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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