マインドフルネス・エクササイズ単独でも不安や抑うつが弱まる | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけ読んだ不安・恐怖(障害)の治療法に関する最新の論文を取り上げます。

なぜ不安・恐怖(障害)なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害(不安症)を併存していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症(選択性緘黙症,選択的緘黙症,選択緘黙症)が不安障害になりました。

今回は、マインドフルネス・エクササイズ単独でも不安や抑うつを低下させることが可能というお話です。

なお、不安・恐怖(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事1⇒協力と認知は共進化可能
最近の記事2⇒交流バイアスは協力を高め、忘却による協力率の低下を弱める
最近の記事3⇒低コストの副産物の提供から高コストの協力関係が出現
最近の記事4⇒魚でもパートナーが意中の相手でないと悲観的になる

Blanck, P., Perleth, S., Heidenreich, T., Kröger, P., Ditzen, B., Bents, H., & Mander, J. (2018). Effects of mindfulness exercises as stand-alone intervention on symptoms of anxiety and depression: Systematic review and meta-analysis. Behaviour Research & Therapy, 102, 25-35. doi:10.1016/j.brat.2017.12.002.

ドイツのハイデルベルク大学心理学的心理療法センター&心理社会医学センター医学心理学研究所、エスリンゲン大学応用科学科ソーシャルワーク衛生医療学部の研究者による論文です。

〇背景と目的

マインドフルネスに基づく介入は心理療法の中でも効能が実証されている方法です。しかし、これらの介入では、通常、マインドフルネス・エクササイズがより大きなセラピー・フレームワークの中に統合されています。なので、そのようなセラピー・フレームワークなしのマインドフルネス・エクササイズ単独でも有効な方法かどうかは分かりません。

以上の問題を背景として、本研究では単独のマインドフルネス・エクササイズが不安や抑うつに与える効果について、系統的レビューおよびメタ解析(メタ分析)を実施しました。

〇方法と結果

電子データベースを体系的に検索したところ、メタ解析の適格基準を満たした研究が18編(n = 1150)見つかりました。外れ値に該当した研究1編を除外して解析したところ、統制群と比較して、単独のマインドフルネス・エクササイズ群は不安や抑うつの改善に小~中程度の効果を発揮していました。

具体的には、不安への効果は標準化平均値差(Standardized Mean Difference,SMD)が0.39(95%?信頼区間0.22, 0.56; 95%?予測区間0.07, 0.70; p < .001, I2 = 18.90%)、抑うつへの効果はSMDが0.41(95%?信頼区間0.19, 0.64; 95%?予測区間−0.05, 0.88; p < .001; I2 = 33.43%)でした。潜在的出版バイアスを補正すると、要約効果推定値は低下しましたが、それでも有意なままでした。

〇コメント

アブストラクトによれば、本論文が、より大きな治療枠組みに統合されないマインドフルネス・エクササイズ単独による不安や抑うつの改善効果をメタ解析で示唆した初めての研究だそうです。不安症の人に対するインターネットに基づくマインドフルネス療法では不安や抑うつだけでなく、不眠の改善やQOL(生活の質)の向上も示唆されていた(Boettcher et al., 2014)ので、マインドフルネス・エクササイズ単独で不安・抑うつ以外にも向上するものがあるかどうかが気になります。

日本では場面緘黙児の緊張や不安の低減のためにマインドフルネスを取り入れた支援を行った研究(伊藤・成瀬,2018)がありますが、その結果がマインドフルネスそのものの効果なのかそれともそれ以外の要素の効果なのか区別する必要があります。また、今回取り上げた系統的レビュー+メタ分析では単独のマインドフルネス・エクササイズで不安が低下することを支持する結果となりましたが、だからといって場面緘黙の背景にあるとされる不安にも効くかどうかは不明で、今後の検証を待たなければなりません。

マインドフルネスには遺伝の影響もある(Waszczuk et al., 2015)とされ、もしかしたらマインドフルネス・エクササイズの効果の個人差にも遺伝の影響があるのかもしれません。

6~17歳の児童青年において、マインドフルネスが高いと安静時の脳ネットワークの状態が変わりやすく、それが不安の低さにつながっているという研究(Marusak et al., 2018)と整合性のある結果が介入研究でも見いだされるのかどうかについても検証していく必要があります。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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