精神疾患の診断:DSM、ICDの次は? | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

生物学的知見に基づいた精神疾患の研究基準、Research Domain Criteria (RDoC)を作成しようとする動きがあります。NIMH(米国国立精神衛生研究所)が主導しています。

○DSMやICDのどこが悪い?
別に、DSM(精神障害の診断と統計の手引き)やICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)のままでもいいじゃないかと思う方もいるでしょう。

しかし、DSMやICDは、生物学的観点は取り入れておらず、最新の知見が反映されていません。遺伝子や脳に関する研究は、様々な疾患で共通となる遺伝的リスクや脳の異常が見出されています。したがって、現在の診断基準を用いるだけでは、生物学的研究が阻害されているとの認識があります。このため、治療薬の開発が遅れている可能性も指摘されています。その他にも様々な理由があります。

○Research Domain Criteria (RDoC)の特徴

RDoCの特徴はDSMやICDで診断される種々の精神疾患カテゴリーにとらわれない横断的な研究です。これにより、精神疾患というカテゴリーそのものより、その症状という側面からアプローチしていくことが期待されます。

具体的な症状の研究領域として、
①Negative Valence Systems(ネガティブ系)
②Positive Valence Systems(ポジティブ系)
③Cognitive Systems(認知系)
④Systems for Social Processes(社会系)
⑤Arousal/Regulatory Systems(興奮/制御系)

が検討されています。しかし、研究の進歩等を受けて変更される可能性もあります。そして、各々の領域はこれまた複数の要素から構成されます(ネガティブ系は恐怖や不安など)。これらの領域について、生物学的、行動学的な研究を行うようです。

現段階では、精神疾患ひいては精神機能の遺伝的、分子的、神経科学的な理解は乏しいといわざるを得ません。しかし、将来、精神疾患の診断に補助的にせよ、生物学的な知見が生かされる時が来た時のためへの備えという意味もこのプロジェクトにはあります。

ただし、現在はあくまでも研究目的であり、診断目的の使用は想定していません。また、決して発達や環境の影響を無視するものではありません。発達や環境は今後の検討課題に挙げられています。

○参考ホームページ

NIMH内にあるRDoCの解説(2012年1月6日現在)
http://www.nimh.nih.gov/research-funding/rdoc/nimh-research-domain-criteria-rdoc.shtml

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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