| 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

京都学生演劇祭2017にて、場面緘黙症経験のある小学校教師が主人公の演劇が上演されました。京都学生演劇祭2017は2017年8月22日~27日に、京都大学の吉田寮食堂で開催されました。有料ですが、一般の方でも観劇できました。

この演劇祭には、Aブロック、Bブロック、Cブロックでそれぞれ3団体、Dブロックで2団体の計、11団体が参加しました。各団体とも6日間の日程中3回公演しました。Aブロックで京都教育大学の演劇ユニット、LPOCH(りぽっく)が『溺れる』という演劇を行いました。『溺れる』には小学校の女性教師、油野/ユノという人物が主人公として登場するのですが、彼女は少女時代に場面緘黙症だったという設定になっています。

LPOCHは「2017年の正月ぐらいに京都学生演劇祭をきっかけに結成」された結成ホヤホヤの演劇団です。初演が京都学生演劇祭2017で、場面緘黙症歴のある教師を主人公とする演劇が初舞台でした。それにもかかわらず、『溺れる』で京都学生演劇祭2017の審査員特別賞を受賞しています(観客投票では4位)。

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興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクトだけ読んだ、社交不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。

なぜ、社交不安(障害)なのかというと、場面緘黙児(選択性緘黙児)は社交不安(社会不安)が高いか、もしくは社交不安障害(社会不安障害,社交不安症)を併存していることが多いという知見があるからです。また、米国精神医学会(APA)が発行するDSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き第5版)では場面緘黙症が不安障害(不安症)になりました。

今回は、社交不安が高い人達は相手が非計画的動作をした場合に、彼/彼女の動作を模倣することが少ないという研究です。

なお、社交不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。今回は少し多めです。

最近の記事1⇒たとえ不快な情動でもそれを感じたいのならハッピー
最近の記事2⇒怒りは反すうを弱める
最近の記事3⇒顔が大学の成績を予測する
最近の記事4⇒青い病院パジャマは大うつ病エピソード患者の重篤度を重く感じさせる
↑記事2はいわゆる「情動による情動制御」研究の一環で、本ブログでも「恐怖は怒り感情の低下を抑えるが、攻撃行動には影響しない」という記事で取り上げました。『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』でも「悲しみでストレス下でも攻撃行動の抑制ができるようになる」という記事が情動による情動制御研究のことです。記事4は白衣症候群(白衣高血圧)ならぬ患者衣症候群/青いパジャマ症候群(blue pyjama syndrome)の存在の指摘です。

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2018年3月1日から3日にかけてアメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアにて開催された東心理学会年次総会にて、場面緘黙症(選択性緘黙)に関する研究発表がありました。いずれも研究方法の詳細は不明ですが、せっかくですのでそのポスター発表の内容をご紹介します。

〇場面緘黙とトラウマの関係に関する調査(Bowden et al., 2018)

場面緘黙児のトラウマ経験率、もし経験していれば、その種類に関する調査です。場面緘黙はトラウマとは関連しないとの研究がある一方で、場面緘黙児にトラウマ歴があるとの研究も存在します。今回の研究では、場面緘黙児のほとんどはトラウマを経験していなかったそうです。トラウマがあった緘黙児では、家族トラウマ、環境トラウマ、医療トラウマ、学校トラウマの4タイプが見いだされました。

場面緘黙はトラウマが主因とはいえませんが、かといって研究が少ない現状では全く関係がないと断言する根拠もありません。今回は場面緘黙とトラウマにはほとんど関連がなかったみたいですが、そもそも緘黙児でトラウマ経験者を探すというのもおかしな話です。トラウマが場面緘黙のリスク要因になるかどうかは、トラウマ経験者の追跡調査でもって明白にされる事項です。なぜならば、そもそもトラウマ経験者の数が少なければ、たとえトラウマが場面緘黙のリスクになるにしても、緘黙児の中にトラウマ経験がある子は限られると考えられるからです。これは、場面緘黙の発症、維持には複数の要因があると言われることを考慮すればなおさらです。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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